運動でコレステロールを下げるには「30分以上の運動」が目安

運動でコレステロール値を下げたいけれど、実際に効果はあるのか、どのような運動をすればいいか悩んでいる方も多いでしょう。

この記事では、コレステロールの値を下げるのに役立つ効果的な運動方法について取り上げていきます。運動をする場合の種目の選び方や運動時間の目安、注意点についても解説しますので、ぜひ参考にしてみてください。
運動を行なうと「血液中のHDL(善玉)コレステロールが増加し、LDL(悪玉)コレステロールが低下する」ことが以下の実験で明らかになっています。

福岡大学スポーツ科学部 運動生理学研究室の田中宏暁氏らによると、中高年者を対象に10週間〜24ヶ月 間の監視型有酸素運動の効果を非運動療法群と比較し たRCT 4 研究のメタ解析で、運動によりLDL(悪玉)コレステ ロールとTG(中性脂肪)の低下傾向とHDL(善玉)コレステロールの有意な上昇がみられたとの報告がされています。

運動と脂質代謝 −運動による動脈硬化予防・治療の意義−

◇10週間〜24ヶ月 間の有酸素運動の結果
このような実験結果を踏まえ、様々な疾患の予防には中等度強度の有酸素運動を毎日30分 以上続けることが重要であると言われています。

また、体重の増加は、内臓脂肪と中性脂肪の増加につながり、LDL(悪玉)コレステロール値が高くなる要因にもなります。定期的な運動を取り入れて内臓脂肪と中性脂肪を減らし、体重をコントロールすることによって、LDL(悪玉)コレステロールの低下が期待できるのです。

eヘルスネット脂質異常症を改善するための運動/厚生労働省

それでは次に具体的な有酸素運動について紹介します。
大木町役場HPより引用

ここからは、コレステロール対策に有効的な有酸素運動について具体的に解説していきます。

コレステロール対策に有効的と言われる有酸素運動とは、酸素と体内の糖質や脂質をエネルギーとして使う、筋肉への負荷が比較的軽い運動のことです。

具体的な運動種目としては、以下のものがあります。

◆運動種目
ジョギング
サイクリング
水泳
踏み台昇降運動
エアロビクス

この他には、太ももやお尻などの大きな筋肉をダイナミックに動かすダンスや縄跳びなども該当します。

LDL(悪玉)コレステロール値を改善するには、毎日30分以上運動することが推奨されています。1回の運動時間を長く確保できない場合は、短時間の運動を合計して30分以上行なうようにしましょう。

脂質異常症を改善するための運動/厚生労働省HP

それでも毎日運動するのが難しい場合は、積極的にウォーキングを取り入れてみましょう。日常生活でも、エスカレーターやエレベーターを使わずに階段を使う、一駅前で降りて歩くなどの工夫をすれば、運動習慣が身につくでしょう。

また、近年では位置情報を利用して遊ぶスマホアプリが増えています。それらを使うことで気軽に楽しく歩くことができるかもしれません。

◇無料でダウンロードできる人気の位置情報ゲーム
スマホアプリの他には、天気や時間に左右されずにいつでも屋内で楽しく体を動かすことができる、家庭用ゲーム機がおすすめです。

熱中している間にカロリー消費が出来る「リングフィットアドベンチャー」や、オンライン対戦で盛り上がる「Nintendo Switch Sports」など仕事や予定がある日でも好きな時間にできるので続けやすい点が魅力です。

下記記事で詳しく紹介しているので是非参考にしてみてください。

【運動嫌い必見】血圧を下げるのに効果的で簡単な運動を紹介
LDL(悪玉)コレステロールを改善するために運動をする際は、運動効果をさらに高めたり、運動によるアクシデントを避けるためにも、下記の3つのことに注意しましょう。

◇運動する際の3つの注意点
運動によってLDL(悪玉)コレステロールを改善するには、何よりも継続することが重要です。数回程度の運動で終わってしまっては、LDL(悪玉)コレステロールを下げる効果は期待できません。

文頭でも紹介したように、LDL(悪玉)コレステロールを下げるには、中強度以上の有酸素運動を毎日30分以上続けることが推奨されています。しかし、これまで運動習慣がなかった方には、少しハードルが高く感じられるでしょう。

いきなり強度が高い運動に挑戦するのではなく、15分以上の散歩や、日常生活で座っている時間を少なくするところから始めるのが、長く続ける秘訣です。短い時間の運動でも積み重ねれば効果が現れます。運動は根気良く継続することが大切です。
風邪や倦怠感、めまいなど体調が優れないときは、無理せずにその日の運動を休むようにしましょう。体調が悪いときに運動すると体に負担がかかり、かえって体調が悪化してしまいます。

また、天候が悪いときや、体調に変化を感じるときも運動は避けるようにしましょう。普段から、運動前後の脈拍や体温を測る習慣を身につけておくと、体調の変化に気付きやすくなります。
腰や膝が痛い、心疾患があるという方は、運動を始める前に、必ずかかりつけの医師にどのくらいの運動をどの程度なら行なっても良いか、相談することが大切です。また、運動を中止したほうが良い場合のサインについても確認しておくと、安心して運動を始められます。

医師から運動を行なっても良いとされた場合は、基礎体力や年齢、体重、健康状態などをもとにした運動量を設定するようにしましょう。
運動を継続してもLDL(悪玉)コレステロールの値が下がらない場合は、食生活などの生活習慣に問題がある可能性が考えられます。

脂身が多い肉、インスタントラーメンなどの加工食品、甘いもの、アルコールなどは、LDL(悪玉)コレステロールを増やす大きな要因です。これらの食品の摂取を控え、偏った食生活を変えることが、LDLコレステロール値の改善につながります。

また、LDL(悪玉)コレステロール値を下げる働きのある食品を、積極的に摂るのも効果的です。LDLコレステロールを改善する食品としては、ビタミンA、ビタミンC、ビタミンEが多く含まれるレバーやブロッコリー、アーモンドなどが挙げられます。ほかにも、EPAが多いサンマやサバなどの青魚、食物繊維を多く含むキノコ類やこんにゃくなどもおすすめです。

◇コレステロールを下げる食品
野菜・果物類 かぼちゃ、人参、ブロッコリー、ほうれん草、りんご、みかん
きのこ類 しめじ しいたけ マッシュルーム
青魚 サンマ、サバ、カツオ、秋刀魚
大豆・海藻類 納豆、豆腐、ワカメ
植物性油脂 サラダ油、オリーブオイル、菜種油


これらの食品を毎日の献立に積極的に取り入れて、食生活全体を見直しましょう。その際、食べる量にも注意が必要です。日頃から腹八分目を心がけ、栄養バランスの整った食生活を継続することで、LDLコレステロールの改善につながります。

その上で、喫煙や過度な飲酒を控えることも意識しましょう。

また、コレステロール値を改善するサプリメントを摂取する方法もあります。

LDL(悪玉)コレステロールを減らし、さらにLDLコレステロール値とHDL(善玉)コレステロール値の比率を改善する成分「キューバ産ポリコサノール」の摂取を食生活の改善とともに取り入れてみてはいががでしょうか。

キューバ産ポリコサノールについての詳細は、下記のコラムをご覧ください。

ポリコサノールとは?

運動を行なうと、血液中のHDL(善玉)コレステロールが増加し、LDL(悪玉)コレステロールが低下することが明らかになっています。特に中等度強度の有酸素運動を毎日30分 以上続けることが大切です。1回の運動時間を長く確保できない場合は、短時間の運動を合計して30分以上行なうようにしましょう。

また、近年ではLDL(悪玉)コレステロールとHDL(善玉)コレステロールのバランスを重視するLH比という考え方が一般化してきています。

LH比については、下記の記事にて詳しく紹介していますので、是非参考にしてみてください。

悪玉コレステロールを減らすだけではだめ?LH比についても解説
齋藤先生_背景透過_切り抜き

監修:ナグモクリニック東京院 女性更年期外来担当医師
斎藤 糧三 医師

1998年、日本医科大学卒業後、産婦人科医に。その後、美容皮膚科治療、栄養療法、点滴療法、ホルモン療法を統合したトータルアンチエイジング理論を確立。2008年、「機能性医学」の普及と研究を推進するため「日本機能性医学研究所」を設立。
2013年よりナグモクリニック東京院で栄養外来と女性更年期外来を担当している。
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