悪玉(LDL)コレステロールが増える原因とは?対処法や積極的に摂りたい食べ物についても紹介

「LDL」とも呼ばれる悪玉コレステロール。検査値が高いと「何か対策をしないといけない」と思いつつも、何から始めて良いか意外にわからないものです。

悪玉コレステロールを増やしてしまう原因はいくつかありますが、大きな原因としては生活習慣に関わるものが挙げられます。

この記事では、悪玉コレステロール値が高くなる原因と対処法について解説します。 悪玉コレステロールを下げるおすすめの食べ物も紹介していますので、ぜひ取り入れてみてください。

悪玉コレステロールが増える主な原因を5つ紹介します。対処法も併せて解説していますので、できる範囲で対策してみましょう。

◇脂肪が多い食品を摂りすぎている
・原因
悪玉コレステロールが増えてしまう主な原因が食生活の乱れです。具体的には、高コレステロールの食品・食事や動物性脂肪の摂りすぎが悪玉コレステロール増加に影響します。

特に、飽和脂肪酸を多く含む食事を好む方は、食生活を見直しましょう。
バターや生クリームなどの乳製品、ラード、肉の脂身などに多く含まれています。

飽和脂肪酸は重要なエネルギー源ではありますが、体内で合成できるため、必ずしも食べ物から摂取する必要はありません。

・対処法
飽和脂肪酸を多く含む食事を控えることが重要です。

また、悪玉コレステロールを減らす不飽和脂肪酸を含む食べ物や、食物繊維を多く含む食べ物を積極的に摂りましょう。悪玉コレステロールを下げる食べ物については、こちらの記事で詳しく解説しています。

LDLコレステロール値を下げる食品とは?食生活の改善方法や注意点を解説

◇体質や遺伝によるもの
・原因
生活習慣に関係なく、悪玉コレステロールが高値になりやすい体質であるケースもあります。
この遺伝的要因で起こるものが「家族性高コレステロール血症」です。

家族性高コレステロール血症は、遺伝性ではない原因と比較して悪玉コレステロール値が特に高くなる傾向があります。そのため、重篤な疾患を引き起こしやすいことが知られています。

・対処法
悪玉コレステロールが高くなってしまう原因が、体質や遺伝にあるかどうかを調べる必要があります。
両親・祖父母・兄弟など、血縁者に悪玉コレステロール値が高い方がいるか確認しましょう。また血縁者のなかに、男性であれば55歳未満、女性であれば65歳未満で「早発性冠動脈疾患(心筋梗塞など)」を起こした方がいる場合も注意が必要です。

確認が取れた場合は、早めに医師に相談しましょう。

◇運動不足
・原因
運動不足により、消費エネルギーが下がり脂質の代謝が悪化すると、LDLコレステロール値が上がってしまう場合があります。

また、中性脂肪が増えることにより、善玉(HDL)コレステロールを低下させることも知られています。

・対処法
1日30分以上の有酸素運動を取り入れましょう。
有酸素運動とは、軽度から中程度の負荷をかけ、酸素を使って筋肉を動かす運動のことを指します。

運動は定期的に行なうことが推奨されているため、習慣化できるものがおすすめです。ウォーキング(散歩)・サイクリング・ヨガなどから始めてみてはいかがでしょうか。

◇ストレス
・原因
ストレスは健康にさまざまな悪影響をおよぼしますが、悪玉コレステロールの増加の原因にもなります。

私たちの体はストレスを受けると、ストレス軽減のために必要な副腎皮質ホルモンを分泌します。副腎皮質ホルモンを生成するのに必要な成分の一つが悪玉コレステロールです。
これは大切な防御機構であり、悪玉コレステロールは大事な役割を果たしているともいえます。

しかし、ストレス状態が慢性的に続くことにより、血中の悪玉コレステロールを異常に増やすことで生活習慣病を引き起こす原因となってしまうのです。

・対処法
ストレスを早めに発散し、ため込まないようにします。
試行錯誤しながら、自分に合った環境作りや発散方法を見つけていきましょう。

どうしてもストレスが解消できない場合や、気持ちがいつも沈んだ状態にあるという方は早めに医師に相談してください。

◇喫煙と飲酒
・原因
タバコは糖質や脂質の代謝に悪影響をおよぼすことで、悪玉コレステロールを増加させることが知られています。さらに善玉コレステロールを減少させる効果もあるため、悪玉コレステロールは相対的に増加しやすくなるでしょう。

お酒をたくさん飲む方も要注意です。
実は、アルコールには善玉コレステロールを増加させる作用があります。そのため適量であれば、血圧を上げることなく善玉コレステロールを増やすことで、脳血管障害・冠動脈疾患のリスクを低下させるともいわれているのです。しかし、過剰摂取すると中性脂肪の合成を促進するため、脂質異常症を引き起こす可能性があります。

また、飲酒をすることで、揚げ物など高脂肪の食べ物が欲しくなった経験がある方も少なくないでしょう。これにより飽和脂肪酸を多く摂ってしまうことで、悪玉コレステロールを増やす原因となります。

・対処法
タバコを吸っている方は減煙、禁煙を始めましょう。
アルコールは適量(1日25g/日まで)に抑えることが重要です。

コレステロール値

悪玉コレステロールが増えると具体的にどのような影響があるのでしょうか。

増えすぎた悪玉コレステロールは、血管壁にたまっていきます。
付着した悪玉コレステロールは活性酸素で酸化されることで酸化LDLとなり、血管壁を傷つけ、血管拡張作用を損なわせてしまうのです。 結果として血管の柔軟性がなくなりますが、これが体に悪影響をおよぼします。

血管が硬くなっているということは、血液の圧力によってダメージを受けやすくなるということです。自覚症状がないまま進行するため気付きにくいですが、心臓や脳に関する疾患を引き起こす要因となるため、日頃から注意しておく必要があります。

食習慣と悪玉コレステロールには密接な関係があります。
健康維持のため、悪玉コレステロールに効果的な食べ物を取り入れてみてください。

◇効果的といわれる食べ物
悪玉コレステロールを減少させる働きがある食品は下記が挙げられます。
・豆腐
・納豆
・オリーブ油
・あじ
・さんま など

また、食物繊維が豊富な食品も効果的です。
・麦ごはん
・そば
・切り干し大根
・かぼちゃ
・たけのこ
・ブロッコリー
・しいたけ など

不飽和脂肪酸を含む食べ物も有効であり、悪玉コレステロールを下げる効果が期待できます。
・さんま(焼き)
・イカ類(加工品・塩辛)
・あまに油
・えごま油
・大豆油 など

悪玉コレステロールを減らし、さらに悪玉コレステロールと善玉コレステロールの比率を改善する効果のある成分を含む、サプリメントを摂取してみましょう。学術論文※によると「キューバ産ポリコサノール」が、血中コレステロール値の改善に寄与することが報告されております。キューバ産ポリコサノールの成分については、下記のコラムをご覧ください。

ポリコサノールとは?
https://raydel.co.jp/column/detail/0010.php

引用先:Effects of policosanol treatment on the susceptibility of low density lipoprotein (LDL) isolated from healthy volunteers to oxidative modification in vitro
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC2014982/

悪玉コレステロールが増える原因は、生活習慣に関わるものがほとんどです。
食生活の乱れや運動不足、慢性的なストレス、喫煙、過度な飲酒には十分注意してください。

同時に、家族性高コレステロール血症を疑うことも大切です。
親族に高コレステロール血症の方がいないか、また、男性であれば55歳未満、女性であれば65歳未満で早発性冠動脈疾患(心筋梗塞など)を起こした方がいないかを調べてみましょう。

悪玉コレステロールに効果的な食べ物を積極的に取り入れながら、健康な体を作っていきましょう。

齋藤先生_背景透過_切り抜き

監修:ナグモクリニック東京院 女性更年期外来担当医師
斎藤 糧三 医師

1998年、日本医科大学卒業後、産婦人科医に。その後、美容皮膚科治療、栄養療法、点滴療法、ホルモン療法を統合したトータルアンチエイジング理論を確立。2008年、「機能性医学」の普及と研究を推進するため「日本機能性医学研究所」を設立。
2013年よりナグモクリニック東京院で栄養外来と女性更年期外来を担当している。
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