更年期女性のコレステロールを下げる方法|食事・運動とLH比の重要性
「年を重ねるごとにコレステロール値が上がっている」「健康診断でコレステロール値の指摘を受けた」と悩んでいませんか。
国民健康・栄養調査の結果を見ると更年期(50歳前後)の女性のコレステロール値が急激に上昇するのは珍しいことではないことがわかります。
この記事では、更年期を迎えた女性のコレステロール値が上昇する理由を解説します。また、食事や運動でコレステロールの数値を下げる方法もご紹介しますので、ぜひ参考にして日常生活に取り入れてみてください。
国民健康・栄養調査の結果を見ると更年期(50歳前後)の女性のコレステロール値が急激に上昇するのは珍しいことではないことがわかります。
この記事では、更年期を迎えた女性のコレステロール値が上昇する理由を解説します。また、食事や運動でコレステロールの数値を下げる方法もご紹介しますので、ぜひ参考にして日常生活に取り入れてみてください。
女性は50歳以降コレステロール値が高くなる
実際に女性は50歳以降コレステロール値が高い人が増えるのでしょうか。気になる方も多いと思いますので、国民健康・栄養調査のデータをご紹介します。
◇血清※1LDLコレステロール値の年次推移
※1 血液から赤血球や白血球などの血球成分を取り除いたものを血清と呼びます。
女性のLDLコレステロール値の平均値は50代以降高くなっていることがわかります。30代、40代のときは健康診断でコレステロール値の指摘をされなかった人が50代になって指摘されることは少なくありません。
次に、50-59歳の男性・女性のLDLコレステロール値の分布を見てみましょう。
◇50-59歳の男性・女性の血清LDLコレステロール値の分布
上記のグラフから50代の女性は血清LDLコレステロール値が高い人の割合が多いことが読み取れます。同世代の男性と比較しても女性は血清LDLコレステロール値が高いといえます。
◇血清※1LDLコレステロール値の年次推移
国立健康・栄養研究所 国民健康・栄養調査
※1 血液から赤血球や白血球などの血球成分を取り除いたものを血清と呼びます。
e-ヘルスネット 血清脂質
女性のLDLコレステロール値の平均値は50代以降高くなっていることがわかります。30代、40代のときは健康診断でコレステロール値の指摘をされなかった人が50代になって指摘されることは少なくありません。
次に、50-59歳の男性・女性のLDLコレステロール値の分布を見てみましょう。
◇50-59歳の男性・女性の血清LDLコレステロール値の分布
e-Stat 政府統計の総合窓口 国民健康・栄養調査
上記のグラフから50代の女性は血清LDLコレステロール値が高い人の割合が多いことが読み取れます。同世代の男性と比較しても女性は血清LDLコレステロール値が高いといえます。
女性は更年期(50歳前後)にコレステロール値が高くなる
更年期になると卵巣からのエストロゲン生成が低下して月経は不規則となり、やがて閉経します。閉経後は血中エストロゲンの量が低下し、コレステロールの増加などの症状が出現します。
一般に、更年期は閉経をはさんだ前後5年間と考えられ、日本人における閉経年齢の中央値が50.5歳であることから、45歳から55歳が具体的な更年期に相当するといわれています。
そのため、50歳前後の女性はコレステロール値が高くなる傾向があります。
一般に、更年期は閉経をはさんだ前後5年間と考えられ、日本人における閉経年齢の中央値が50.5歳であることから、45歳から55歳が具体的な更年期に相当するといわれています。
そのため、50歳前後の女性はコレステロール値が高くなる傾向があります。
第45回日本老年医学会学術集会記録 1.更年期の健康維持
脳ドックと更年期 ー女性健診者における年齢層別変化の検討ー
コレステロールの役割
「コレステロール」は体内でどのような役割を担うのでしょうか。
コレステロールは人間の体に存在する脂質のひとつです。有害物質のように見られていますが、コレステロール自体は細胞膜・各種のホルモン・胆汁酸を作る材料となり、体に必要な物質です。
また、健康診断や血液検査でよく耳にするLDLコレステロール・HDLコレステロールにはそれぞれの役割があります。
◇LDLコレステロールとHDLコレステロールの役割
コレステロールは体に必要なもので、HDLコレステロールとLDLコレステロールに善悪はなく、役割が違うものです。
つまりコレステロール値の改善とは「LDLコレステロールを下げる」ではなく、HDLコレステロールを上げて、LDLコレステロールを下げて、「HDLとLDLのバランスを整える」ことです。
コレステロールは人間の体に存在する脂質のひとつです。有害物質のように見られていますが、コレステロール自体は細胞膜・各種のホルモン・胆汁酸を作る材料となり、体に必要な物質です。
e-ヘルスネット コレステロール
また、健康診断や血液検査でよく耳にするLDLコレステロール・HDLコレステロールにはそれぞれの役割があります。
◇LDLコレステロールとHDLコレステロールの役割
LDLコレステロール | コレステロールを全身に運搬する。 |
HDLコレステロール | 余分なコレステロールや血管内膜に溜まったコレステロールを引き抜き、肝臓へ回収する。 |
コレステロールは体に必要なもので、HDLコレステロールとLDLコレステロールに善悪はなく、役割が違うものです。
つまりコレステロール値の改善とは「LDLコレステロールを下げる」ではなく、HDLコレステロールを上げて、LDLコレステロールを下げて、「HDLとLDLのバランスを整える」ことです。
コレステロール値を改善する方法
コレステロール値の改善には食事の見直しと運動の習慣化が重要です。
これからコレステロール値を改善する「食事」と「運動」をご説明します。
これからコレステロール値を改善する「食事」と「運動」をご説明します。
コレステロール値を改善する食事
LDLコレステロール値を下げるために飽和脂肪酸・トランス脂肪酸・コレステロール摂取量を制限しましょう。また、HDLコレステロールを増やす効果のある青魚(DHA/EPA)は積極的に食べるようにしましょう。
食物繊維は体内でコレステロールから作られる胆汁酸の体外(便中)への排泄を促進し、血中コレステロール値を下げるため積極的に摂取しましょう。
◇摂取を控えたい食品
◇積極的に摂取したい食品
コレステロールの高い食品についてはこちらのコラム「コレステロールの高い上位51食品!多くが卵類や魚介類」でまとめています。献立を考えるときの参考にしてみてください。
食物繊維は体内でコレステロールから作られる胆汁酸の体外(便中)への排泄を促進し、血中コレステロール値を下げるため積極的に摂取しましょう。
◇摂取を控えたい食品
飽和脂肪酸の多い食品 | 肉類の脂身 鶏肉の皮 ラード 乳脂肪 ココナッツミルク |
トランス脂肪酸の多い食品 | マーガリン 揚げ物類 スナック菓子 パイ菓子 クッキー類 |
コレステロールの多い食品 | 卵類(鶏卵・魚卵) 内臓類(レバー・モツ) |
◇積極的に摂取したい食品
EPAやDHAを含む食品 | 青魚(さんま・さば・いわし) |
食物繊維を多く含む食品 | 玄米 胚芽米 麦ごはん 全粒小麦パン ライ麦パン しらたき さつまいも 切り干し大根 かぼちゃ ごぼう たけのこ ブロッコリー モロヘイヤ 糸引き納豆 いんげん豆 あずき おから しいたけ ひじき |
e-ヘルスネット コレステロール
e-ヘルスネット 脂質異常症(実践・応用)
e-ヘルスネット 食物繊維の必要性と健康
文部科学省 日本食品標準成分表2020版 脂肪酸成分表編(八訂)
コレステロールの高い食品についてはこちらのコラム「コレステロールの高い上位51食品!多くが卵類や魚介類」でまとめています。献立を考えるときの参考にしてみてください。
コレステロールの高い上位51食品!多くが卵類や魚介類
コレステロール値を改善する運動
運動療法として有酸素運動を中心とした種目を1日30分以上続けることを推奨しています。
◇HDLコレステロールを増やす効果が期待される運動
2005年までの国内外の運動に対するHDLコレステロールの効果を検討した研究結果から、明らかになったHDLコレステロールを増加させることができる運動・身体活動の最低条件は下記の通りです。
・1週間に合計120分間の運動を行う
もしくは
・1週間に合計900kcalのエネルギーを消費する身体活動を行う
1日運動したからといってコレステロール値が改善するわけではなく、運動を続けることによって少しずつ改善していきます。
毎日の生活の中でエスカレーターやエレベーターを使わず階段を使ったり、車ではなく徒歩や自転車で移動したりして運動量を増やしてみてはいかがでしょうか。
◇HDLコレステロールを増やす効果が期待される運動
運動種目 |
ウォーキング 速歩 水泳 エアロビクスダンス 歩くような速さのジョギング サイクリング ベンチステップ運動などの大きな筋をダイナミックに動かす身体活動 |
運動時間 | 1日合計30分以上 |
頻度 | 毎日(少なくとも週3日以上) |
2005年までの国内外の運動に対するHDLコレステロールの効果を検討した研究結果から、明らかになったHDLコレステロールを増加させることができる運動・身体活動の最低条件は下記の通りです。
・1週間に合計120分間の運動を行う
もしくは
・1週間に合計900kcalのエネルギーを消費する身体活動を行う
e-ヘルスネット 脂質異常症を改善するための運動
1日運動したからといってコレステロール値が改善するわけではなく、運動を続けることによって少しずつ改善していきます。
毎日の生活の中でエスカレーターやエレベーターを使わず階段を使ったり、車ではなく徒歩や自転車で移動したりして運動量を増やしてみてはいかがでしょうか。
まとめ
コレステロールは血管内膜の中に溜まり膨らんで、血液の流れをさえぎります。プラークと呼ばれる膨らみにより血管は狭くなります。血液はその狭い血管をより強い圧力で通過しなければならず、血管の硬さと相まって血圧はおのずと高くなります。
そのため、「コレステロール」は高血圧の原因の1つといえます。健康診断の結果を振り返り、コレステロール値が正常の範囲を超えそうな場合には、真剣にコレステロールについて対策する必要があります。
近年ではLDLコレステロールとHDLコレステロール単体の数値ではなく、バランスを重要視する考え方が広まってきています。
更年期(50歳前後)の女性はコレステロール値が高くなりやすいですが、食事・運動の習慣を改善してLDLコレステロールは下げて、HDLコレステロールは上げてコレステロール値のバランスを整えていきましょう。
LH比の目安についてはこちらをご確認ください。
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そのため、「コレステロール」は高血圧の原因の1つといえます。健康診断の結果を振り返り、コレステロール値が正常の範囲を超えそうな場合には、真剣にコレステロールについて対策する必要があります。
近年ではLDLコレステロールとHDLコレステロール単体の数値ではなく、バランスを重要視する考え方が広まってきています。
更年期(50歳前後)の女性はコレステロール値が高くなりやすいですが、食事・運動の習慣を改善してLDLコレステロールは下げて、HDLコレステロールは上げてコレステロール値のバランスを整えていきましょう。
LH比の目安についてはこちらをご確認ください。
LH比計算
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監修
株式会社レイデルジャパン
コンシューマーヘルスケア事業本部 RA,R&D統括
単 少傑 薬学博士
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