悪玉コレステロール改善の方法3つ|食事・運動・生活習慣のポイント!
「悪玉コレステロール改善の方法を探しているけど…どうしたらいい?」
「基準値まで下げたい!」
そうお考えではないでしょうか。
コレステロールは人間の体に存在する脂質のひとつです。悪玉・善玉コレステロールという呼ばれ方があり、悪玉が有害なように見られていますが、コレステロール自体は細胞膜・各種のホルモン・胆汁酸を作る材料となり、体に必要な物質です。日本人間ドック学会によると悪玉コレステロールは120〜179が要注意、180以上が異常値です。
生活習慣病の因子として取り上げられているのは、たんぱく質などと結合しリポタンパク質として血液中にとけ込んでいるコレステロールです。
リポタンパク質には、肝臓のコレステロールを体全体に運ぶ役割を持つLDLと、体内の血管壁にたまったコレステロールを引き抜き肝臓に運ぶ役割を持つHDLがあります。LDLは体にコレステロールを貯めるので「悪玉」、HDLは回収するので「善玉」と呼ばれています。
この記事では厚生労働省や文部科学省のページを基にコレステロールを改善する食事・運動・生活習慣のポイントを解説します。ぜひ、参考にして日常生活に取り入れてみてください。

監修
株式会社レイデルジャパン
コンシューマーヘルスケア事業本部 RA,R&D統括
単 少傑 薬学博士
悪玉コレステロールの基準値
悪玉(LDL)コレステロールの基準値は下記の通りです。
今は異常値でないからといって安心はできません。
年齢を重ねると上昇する場合があるため、健康診断・血液検査を受けて定期的に確認することが大切です。
異常 | 基準範囲 | 要注意 | 異常 |
---|---|---|---|
59 mg/dL以下 | 60~119 mg/dL | 120~179 mg/dL | 180 mg/dL以上 |
悪玉コレステロールを下げる食事
コレステロール値を改善したいとき、食事をヘルシーなものに変える方法があります。
食事のポイントは下記の2つです。
- ①コレステロールを多く含む食品の摂取量を減らすこと
- ②コレステロールを下げる栄養素の摂取量を増やすこと
ここからは、コレステロール値を下げるためのポイントを具体的に説明していきます。
悪玉コレステロールを多く含む食材の摂取量を抑える

コレステロールは卵・魚介類・肉類(肝臓)に多く含まれています。下記にコレステロールを多く含む食品の例を示します。
コレステロールを多く含む食品例(可食部100g当たり)
食品名 | コレステロール |
---|---|
卵黄/生 | 1200 mg |
さくらえび/素干し | 700 mg |
すじこ | 510 mg |
イクラ | 480 mg |
しらす干し/半乾燥品 | 390 mg |
全卵/生 | 370 mg |
にわとり/肝臓/生 | 370 mg |
かずのこ/生 | 370 mg |
けんさきいか/生 | 350 mg |
たらこ/生 | 350 mg |
ししゃも/生干し/焼き | 300 mg |
ぶた/肝臓/生 | 250 mg |
うし/肝臓/生 | 240 mg |
有塩バター | 230 mg |
うなぎ/かば焼 | 230 mg |
コレステロールは卵の特に「卵黄」に多く含まれていることがわかります。卵1つの卵黄は約20gのため、およそ240mgのコレステロールが含まれている計算になります。
コレステロールが気になる方は卵・魚介類・肉類(肝臓)の摂取量を抑えてみることをおすすめします。
さらに詳しくコレステロールを多く含む食品について知りたい方は「コレステロールの高い上位51食品!多くが卵類や魚介類」をご覧ください。
悪玉コレステロールを下げる食材を摂取する

コレステロールを下げるといわれている食品成分を3つご紹介します。
以下の3つの食品成分です。
- ①食物繊維
- ②不飽和脂肪酸
- ③大豆たんぱく質
①食物繊維
食物繊維は体内でコレステロールから作られる胆汁酸の体外(便中)への排泄を促進し、血中コレステロール値を下げます。
下記に食物繊維を多く含む食品の例を示します。
食物繊維を多く含む食品例(可食部100g当たり)
食品名 | 食物繊維 |
---|---|
こんにゃく/精粉 | 79.9 g |
てんぐさ/粉寒天 | 79.0 g |
干しわらび/乾 | 58.0 g |
きくらげ/乾 | 57.4 g |
ほしひじき/乾 | 51.8 g |
乾しいたけ/乾 | 46.7 g |
おから/乾燥 | 43.6 g |
カットわかめ/乾 | 39.2 g |
刻み昆布 | 39.1 g |
焼きのり | 36.0 g |
かんぴょう/乾 | 30.1 g |
切干しだいこん/乾 | 21.3 g |
全粒/黒大豆/国産/乾 | 20.6 g |
いんげんまめ/全粒/乾 | 19.6 g |
いり大豆/黄大豆 | 19.4 g |
きな粉/黄大豆/全粒大豆 | 18.1 g |
干しがき | 14.0 g |
上の表を見るとこんにゃく、藻類、きのこ類、豆類、野菜類に多く含まれていることがわかります。
これらの食品をお味噌汁や煮物に加えることで普段の食事よりも食物繊維を多く摂取できるようになります。
②不飽和脂肪酸
オレイン酸が豊富なオリーブ油、あじ・さんまなど青背の魚に含まれるDHA(ドコサヘキサエン酸)やEPA(エイコサペンタエン酸)などの不飽和脂肪酸は、HDLコレステロールを下げずにLDLコレステロールを減らす働きがあります。
不飽和脂肪酸は脂質の一種です。下記の表で脂質の種類をご紹介します。

動物性脂肪には飽和脂肪酸が多く含まれ、悪玉(LDL)コレステロールを増やします。
逆に植物性脂肪や魚類に含まれる不飽和脂肪酸はコレステロールを下げる作用があります。
下記に脂質の種類とその効果や食品例についてまとめたのでご覧ください。一口に「脂質」と言っても種類や効果が様々であることがわかります。
脂質の効果と食品例
脂質の種類 | 効果 | 食品例 |
---|---|---|
飽和脂肪酸 | 過剰摂取は血液中の悪玉(LDL)コレステロールを増加させる | 肉類の脂身、バター、乳製品などの動物性脂肪、ココナッツオイル |
一価脂肪酸 | 血液中の悪玉(LDL)コレステロールを低下させる | オリーブオイル、なたね油、こめ油 |
n-6系脂肪酸 | 血液中のコレステロールや血圧を低下させる | 大豆油、コーン油などの植物油 |
n-3系脂肪酸 | 血液中の中性脂肪や血圧を低下させる 細胞膜の抗酸化作用、血栓生成防止 | 植物油、魚介類 |
コレステロール値の改善のために飽和脂肪酸を控え、不飽和脂肪酸(一価脂肪酸、n-6系脂肪酸、n-3系脂肪酸)を摂取するようにしましょう。
③大豆たんぱく質
豆腐・納豆などに含まれる大豆たんぱくは、コレステロールの吸収を抑える働きがあります。
大豆たんぱく質を摂取するためにはまず大豆食品を知ることが大切です。
下記は大豆食品の一覧です。種類が豊富なため、飽きずに摂取できるのではないでしょうか。
大豆食品一覧

豆腐、豆乳、おから、がんもどき、油揚げなどお好みの大豆食品を料理に合わせて積極的に大豆タンパク質を摂取してみてください。
また、普段ジュースやアルコールを多く飲む方はそれらをお茶に置き換えることをおすすめします。なぜなら、お茶に豊富に含まれる「カテキン」には血中コレステロールの上昇抑制・悪玉コレステロールの吸収抑制の効果があるといわれているからです。
悪玉コレステロールを下げる運動
有酸素運動を中心とした運動の継続的な実施はコレステロールをはじめとする血中脂質値に好影響を及ぼします。
コレステロール値を改善する運動
運動種目 | ・ウォーキング 速歩 水泳 エアロビクスダンス ・歩くような速さのジョギング サイクリング ・ベンチステップ運動などの大きな筋をダイナミックに動かす身体活動 |
---|---|
運動時間 | 1日合計30分以上 |
頻度 | 毎日(少なくとも週3日以上) |
運動の時間を確保することが難しい場合は、日常生活に取り入れる方法がおすすめです。
- ・エスカレーターやエレベーターではなく階段を使う
- ・バスや電車を1駅手前で降りて歩く
- ・車ではなく自転車や徒歩で移動する
日常生活の移動手段に運動を取り入れることができれば無理なく継続できます。
この他にも「掃除機やモップをかける」「洗車をする」「水やりや草むしりをする」などもからだを動かす機会になります。1人で続けることが難しい場合は家族や友人を誘って一緒に運動すると続けやすいかもしれません。
悪玉コレステロールを上げないための生活習慣
悪玉コレステロールを上げないためには禁煙、ストレスをためない生活、適度な運動、十分な睡眠が重要です。
コレステロールを上げる要因

①喫煙
喫煙は善玉(HDL)コレステロールを減らす一方、悪玉(LDL)コレステロールをさらに増加させやすくなります。
②ストレス
ストレスは飲酒量や喫煙本数の増加、過食など、行動面に現れることもあり、このような生活習慣の乱れが生活習慣病の発症や悪化につながることもあります。
③運動不足
慢性的な運動不足は筋力の低下や肥満につながります。
脂質異常症の治療では運動療法として中強度以上の有酸素運動を定期的に行うことが推奨されています。
運動療法は、脂質異常症患者だけでなく健常者においても、血中トリグリセライドレベルを低下、HDLコレステロールレベルを増大させ、血中脂質値に好影響を及ぼします。
このことからもわかる通り、運動は健康維持に欠かせないといえるでしょう。デスクワークや車での移動が多い場合は運動量を少しずつ増やしてみましょう。
④睡眠不足
睡眠不足は善玉(HDL)コレステロールの低下や中性脂肪の増加など、脂質異常を引き起こすことが指摘されています。
まとめ
悪玉コレステロール値の改善のポイントとして食事・運動・生活習慣をご紹介しました。
日常生活に悪玉コレステロールにアプローチする週間を組み込み、ストレスにならないように実践してみてください。
また、健康のためには悪玉コレステロール値だけでなく善玉コレステロール値も重要です。
善玉コレステロールは増えすぎたコレステロールを回収し、さらに血管壁にたまったコレステロールを取り除いて、肝臓へもどす働きをします。
善玉(HDL)コレステロールの基準値は下記の通りです。
異常 | 要注意 | 基準範囲 |
---|---|---|
34 mg/dL以下 | 35~39 mg/dL | 40 mg/dL以上 |
悪玉コレステロールは数値が高いと要注意・異常となりますが、善玉コレステロールは数値が低い場合に要注意・異常となります。
近年では悪玉(LDL)と善玉(HDL)のバランス(LH比)を重要視する考え方が一般化してきています。
下記のページではご自身のLH比を計算することができます。LH比の目安についても書いているので参考にしてみてください。
