高血圧を下げる効果的な飲み物3選!緑茶・牛乳・スムージー
血圧を下げたいとき、効果が期待できる飲み物があることをご存じでしょうか。
この記事では高血圧の予防・改善に効果が期待される飲み物を3種類ご紹介します。
血圧を下げることが期待できる成分、そしてその理由も合わせてご説明していますのでぜひ日常生活に取り入れてみてください。

監修
株式会社レイデルジャパン
コンシューマーヘルスケア事業本部 RA,R&D統括
単 少傑 薬学博士
手軽に飲めて血圧を下げるのに役立つ飲み物
前述したように、高血圧の予防・改善に効果が期待される飲み物3種類はこちらです。
- ①緑茶
- ②牛乳
- ③スムージー
それぞれをおすすめする理由を詳しく説明していきます。
ご自身の健康状態や生活スタイルに合わせて日常生活に取り入れてみてください。
①緑茶:カテキンが豊富で炭水化物が含まれない

日本人が昔から飲んできた緑茶。具体的にどのような成分が入っているのかご存じでしょうか。
何気なく飲んでいる方も多い緑茶が、高血圧の予防・改善に効果的である理由を説明していきます。
「カテキン」を効率よく摂取できる
緑茶に含まれる渋みと苦味を構成する成分である「カテキン」は高血圧の改善・予防に効果的です。
なぜなら、下記の書籍によるとカテキンは血液中の「血圧を上昇させる酵素」の働きを抑えるからです。さらに、体内にある「活性酸素を除去する酵素」を増加させ、血管の拡張を促すことで血圧の上昇を抑えます。
お茶の中でも特にカテキンを多く含むといわれている「緑茶」を飲んで高血圧の改善・予防につなげましょう。
栗原毅(2022).『お茶のすごい健康長寿力 高血糖、高血圧、肥満、内臓脂肪から免疫力、認知症、不眠、イライラまで 』.主婦の友社.
炭水化物(糖質)を含まない
炭水化物(糖質)の過剰摂取はメタボリックシンドロームや糖尿病だけでなく、高血圧にも影響することが下記の研究により明らかにされつつあります。
そのため、炭水化物を含まないお茶で水分摂取をすることは高血圧の予防・改善に役立ちます。
精製された炭水化物である果糖(フルクトース)が高血圧と直接的に関わる可能性があると述べる論文が発表されており、今までは高血圧の食事療法で塩分(ナトリウム)に焦点が当てられていましたが、この論文ではさらに食品添加物として使われる果糖(フルクトース)の摂取量を減らすことの重要性について言及しています。
清涼飲料水100mlに含まれる炭水化物の量(g)
下記グラフは代表的な清涼飲料水の公式サイトのデータを元に独自で清涼飲料水に含まれる炭水化物の量をまとめたものです。

上のグラフでは代表的な清涼飲料水とお茶に含まれる炭水化物の量を比較しています。
赤の四角の項目はお茶には炭水化物が含まれていないことを示しています。普段、清涼飲料水をよく飲む方は緑茶に置き換えて炭水化物(糖質)の摂取量を減らすよう心がけましょう。
②牛乳:カルシウムとカリウムの摂取に役立つ

2つめの飲み物は「牛乳」です。こちらも普段何気なく飲んでいる方がいらっしゃるかもしれません。
詳しく見ていきましょう。
「カルシウム」が豊富
カルシウム不足は高血圧につながりやすくなります。牛乳には100gあたり110mgのカルシウムが含まれているため、バランスのよい食事に加えて牛乳を毎日200mlを目安に飲んで不足しがちなカルシウムを補いましょう。
カルシウムは人間の体の中の骨や歯に99%、血液中やその他に残りの1%があります。
血液中に存在するカルシウムは生命を維持するためにとても重要なため、血液中のカルシウム濃度を維持する仕組みが備わっています。
カルシウムが不足して血液中のカルシウムが足りなくなると、カルシウムを補うために骨を溶かし出して血液中にカルシウムを補給します。
血液中のカルシウムが不足すると骨からカルシウムを補う仕組み

骨からカルシウムが溶け出し始めるとそれを急に止めることはできず、大量に骨からカルシウムを溶かし出します。
さらに血液中のカルシウムを必要以上に細胞に送り込んでしまい、再び血液中のカルシウムが不足するという悪循環が起こってしまいます。
そして余分なカルシウムが、通常はカルシウムがあまり存在しないような血管や脳細胞などに蓄積します。
血管内の筋肉にもカルシウムが入り込むことで筋肉を収縮させて血管の内側が狭くなり、血圧が高くなってしまうと考えられています。
血管の健康な状態とカルシウム不足の比較


カルシウムを食事から十分に摂取することでカルシウム不足による高血圧を予防・改善することが期待できます。
牛乳はカルシウムが豊富です。日常生活に牛乳を取り入れましょう。
「カリウム」を摂取できる
日本人はナトリウムの摂取量が諸外国に比べて多いため、ナトリウムの摂取量低下に加えて、ナトリウムの尿中排泄を促すカリウムの摂取が重要と考えられています。
近年、カリウムの摂取量を増加することによって血圧低下、脳卒中予防、骨粗鬆症予防に繋がることが動物実験や疫学研究によって示唆されています。
食塩摂取量の平均値の年次推移

健康な日本人成人の男女が当面目標とすべき1日の食塩摂取量は各々7.5g未満、6.5g未満とされていますが、平均2g程度上回っています。そのため、ナトリウムを尿から排泄することを促すカリウムの摂取の重要性が増しています。
現在のカリウム摂取量と目標量
下記の表は現在の日本人のカリウム摂取量とアメリカ高血圧合同委員会第6次報告をもとに算定した目標量(mg/日)を示しています。

日本人のカリウム摂取量は目標量に到達していないことがわかります。
牛乳には100gあたりに150mgのカリウムが含まれています。牛乳を毎日200mlを目安に飲んで不足しがちなカリウムを摂取しましょう。
③スムージー:カリウムと野菜の栄養素を気軽に摂取できる

スムージーとは野菜やフルーツをミキサーにかけてジュースにしたものです。
牛乳・ヨーグルト・氷を入れるなど、お好みに合わせて材料を選ぶことができます。
「カリウム」を摂取できる
先ほどで牛乳には血圧を下げるのに効果的なカリウムが含まれていると解説しました。
スムージーを作る際に牛乳を入れれば牛乳が苦手な方も牛乳を摂取しやすくなります。下記にスムージーに向く食材でカリウム含量が多いものをまとめました。
カリウムが豊富な食材
食品名 | 100gあたりのカリウム量 |
---|---|
きな粉 | 2000mg |
ほうれん草(生) | 690mg |
アボカド | 590mg |
こまつな(生) | 500mg |
バナナ | 360mg |
キウイフルーツ | 300mg |
豆乳 | 190mg |
牛乳 | 150mg |
パイナップル | 150mg |
オレンジ | 140mg |
リンゴ | 120mg |
スムージーはこれらの食品を無理なく摂取できる方法です。
お好みの食品を組み合わせてお気に入りのスムージーを作ってみましょう。
気軽に野菜を摂取できる
下記のグラフで示すように日本人は野菜摂取量が厚生労働省が定める目標の350gに到達していません。
令和元年の野菜摂取量の平均は約280gで1日あたりおよそ70gの野菜が不足していることになります。
野菜摂取量の平均値の年次推移

野菜にはビタミンやミネラルなど人間が健康に生きていく上で重要な栄養素が多く含まれています。
ご自身の食事を振り返り、目標量350gに届かないと感じる場合はスムージーを取り入れて野菜の摂取量を増やしてみることをおすすめします。
また、スムージーは野菜やフルーツの種類を変えて様々なレパートリーを楽しむことができます。お気に入りのレシピを探してみてはいかがでしょうか。
レシピ紹介
高血圧の予防・改善に役立つといわれる食品を使ってスムージーを試作してみました。
どんな材料で作るか迷う場合には、ぜひ参考にしてください。
バナナアボカドスムージー

材料として、バナナとアボカド・牛乳を選びました。
実際に作って飲んでみたところ、くせがなく程よく甘くて飲みやすかったです。おなかにたまりやすいので朝食にも良さそうです。
【材料】
- ・アボカド 1/2個
- ・バナナ 1本
- ・牛乳 150ml
- ・はちみつ 大さじ1
【作り方】
- 1.アボカドとバナナの皮を剥き、ミキサーに入れる。
- 2.牛乳とはちみつをミキサーに入れる。
- 3.ミキサーで材料の形がなくなるまで混ぜる。
- 4.はちみつが沈殿しやすいので、スプーンで混ぜてからコップに注ぐ
バナナアボカドスムージーのアレンジ例

バナナアボカドスムージーにきな粉大さじ1を追加しました。
きな粉の香りと味わいを楽しめるスムージーになりました。
このようにアレンジして楽しめるのがスムージーのいいところです。バナナアボカドスムージーの牛乳を豆乳に変更してもおいしくなりそうだと思いました。
ウォーキングを続けるほど高血圧予防になる
飲み物と少し話が変わりますが、高血圧の予防と改善には適度な運動・バランスのよい食事・睡眠が大切です。
下記の論文ではきつい運動を続ける人ほど高血圧になる人の割合が低いという研究結果を報告しています。
日常生活の移動で車やバス・電車の利用頻度を減らし、できるだけ歩くようにしましょう。また、少し速めに歩くとより運動の強度を上げることができるため効果的です。
まとめ
高血圧の予防と改善には適度な運動・バランスのよい食事・睡眠が重要です。
また、できるだけ血圧を上げるとされる習慣を改善することが大切です。ご自身の生活を見直す参考にされてください。
血圧を上げる生活習慣
- ・塩分の摂り過ぎ
- ・睡眠不足
- ・ストレス
- ・お酒の飲み過ぎ
- ・喫煙
- ・運動不足