高血圧に影響を与えるコーヒーの3つの成分を紹介
コーヒーを飲むと血圧は上がるのでしょうか。下がるのでしょうか。
毎日飲むのという方は気になるところですよね。
コーヒーには血圧を上げる成分と下げる成分が含まれているという研究結果が発表されています。
この記事ではコーヒーに含まれる成分3種類に注目して、コーヒーと血圧の関係をご説明します。
高血圧を予防・改善したい方へのおすすめの飲み方や1日に飲んでも問題ないといわれる量をご紹介していますので、ぜひ日常生活に取り入れてみてください。

監修
株式会社レイデルジャパン
コンシューマーヘルスケア事業本部 RA,R&D統括
単 少傑 薬学博士
カフェインは一時的に血圧を上昇させる
コーヒーと聞くとカフェインを連想する方も多いのではないでしょうか。カフェインは神経を鎮静させるアデノシンという物質の働きを阻害することにより、神経を興奮させる働きがあります。
コーヒー100mlには約60㎎のカフェインが含有されています。下記のグラフからもわかるようにコーヒーは比較的カフェインを豊富に含む飲料であるといえます。
飲料時カフェイン含有量

全日本コーヒー協会 コーヒーの基礎知識 を元に作成
コーヒーを飲用するとカフェインの影響によって血圧は上昇しますが、その作用は一時的なもので数時間後には戻ります。
習慣的なコーヒーの飲用と高血圧症とは関連しないのではないかという研究結果が発表されています。
コーヒーが血圧に影響を及ぼすかどうか、さらにその作用が日常のコーヒー飲用習慣によって影響を受けるかどうかの研究を行った結果をご紹介します。
コーヒーが血圧に影響を及ぼすかの実験
正常血圧の20~22歳を①~④のグループに分けました。それぞれのグループに1杯(150ml)のコーヒーを飲用させました。
A | コーヒー非常飲者(コーヒー飲用回数が週3回未満) ①カフェイン抜きコーヒー飲用群 ②カフェイン入りコーヒー飲用群 |
---|---|
B | コーヒー常飲者(コーヒー飲用回数が週3回以上) ③カフェイン抜きコーヒー飲用群 ④カフェイン入りコーヒー飲用群 |
コーヒー摂取後の血圧の変化

コーヒー非常飲者のカフェイン入りコーヒー飲用群②は 30分後にはカフェイン抜きコーヒー飲用群①と比較して収縮期血圧と拡張期血圧の有意な上昇がみられました。
そして90分後にはカフェイン抜きコーヒー群より各々7mmHg、3mmHg高くなり、血圧上昇はより顕著となりました。そのため、血圧測定前はコーヒーをはじめとしたカフェイン入りの飲料の摂取は控えたほうがよいといえるでしょう。
コーヒー常飲者:カフェインは高血圧症との関連は少ない
一方、コーヒー常飲者にカフェイン入りコーヒーを飲用させた場合は収縮期血圧と拡張期血圧は 90 分間にわたってほとんど上昇しませんでした。
これはコーヒー常飲者にはカフェインに対する耐性があるためと考えられています。
上記の結果からもわかるように個人差はあるもののコーヒーを飲用するとカフェインの影響によって血圧は上昇します。しかし、その作用は一時的なものです。
そのため、習慣的なコーヒーの飲用と高血圧症は関連しないのではないかという研究結果が発表されています。
ポリフェノールは血圧を下げる効果が期待されている
コーヒーには、ポリフェノールの1種であるクロロゲン酸が豊富に含まれています。
その量はカフェインよりも多く、コーヒーの褐色や苦味、香りのもととなっています。さらに、クロロゲン酸は血圧を下げる効果をもつのではないかという論文が発表されています。
飲料中の総ポリフェノール含有量(mg/100ml)

全日本コーヒー協会 コーヒーの基礎知識 を元に作成
コーヒー100mlには200mgのポリフェノールが含まれています。これは赤ワインと比較すると少ないですが緑茶の約1.7倍であり、コーヒーにはポリフェノールが豊富に含まれているといえます。
次にコーヒーに含まれるポリフェノールの1種であるクロロゲン酸が血圧を下げる効果があるのではないかということを示した実験を紹介します。
クロロゲン酸の血圧低下効果の実験
軽症高血圧の男性ボランティア114名を4つの群に分け、それぞれに1日1回0mg、46mg、93mg、185mgの水溶性コーヒー豆抽出物を摂取してもらいました。実験前と28日間水溶性コーヒー豆抽出物(※)の摂取を続けた後の血圧を比較しました。
※水溶性コーヒー豆抽出物の主成分はコーヒーに含まれるポリフェノールであるクロロゲン酸です。クロロゲン酸の含有量は下記の通りです。
水溶性コーヒー豆抽出物 | 0mg | 46mg | 93mg | 185mg |
---|---|---|---|---|
クロロゲン酸 | 0mg | 25mg | 50mg | 100mg |
水溶性コーヒー豆抽出物の摂取量と血圧の変化

この実験結果からクロロゲン酸が軽度の高血圧症患者の血圧を低下させる作用をもつと考えられます。
クロロゲン酸を毎日摂取することは高血圧症の人の血圧を下げ、脳卒中や冠状動脈性疾患の予防に役立つ可能性があることを示しました。
1日のクロロゲン酸類の摂取量
下記に平均的な1日のクロロゲン酸類の摂取量(1人当たり)を示します。
コーヒーをよく飲む人 | 約0.5~1.0g |
---|---|
コーヒーを飲まない人 | 100mg未満 |
コーヒーの飲用習慣によって5倍以上の差があることからもわかる通り、クロロゲン酸類の摂取量はコーヒー消費量に大きく影響を受けるといえます。
クロロゲン酸類のその他の摂取源としては紅茶、ココア、ポームフルーツ(リンゴや梨など)、ベリー系フルーツ、柑橘系フルーツなどがあります。
血圧が高めの方はクロロゲン酸類を多く含む食品を活用し、摂取量を増やしてみることをおすすめします。
カリウム高血圧予防作用が期待されている
「高血圧を下げるのに効果的な飲み物3選!緑茶・牛乳・スムージー」というコラムで、カリウムが体内のナトリウムを排出するため高血圧予防に役立つとお伝えしました。
コーヒー100gにはカリウムが65mg含まれています。牛乳には100gあたり150mgのカリウムが含まれているため、コーヒーには牛乳の約半分のカリウムが含まれているといえます。
「日本人の食事摂取基準(2020年版)」では生活習慣病の予防を目的とした成人1人1日当たりのカリウム摂取の目標量を男性3,000mg以上、女性2,600mg以上としています。日本人成人のカリウム摂取量の中央値は、男性 2,384 mg/日、女性 2,215 mg/日であるため、カリウムが不足していることがわかります。
カリウムはナトリウムを体内から排出する作用を持つため、カリウムを摂取することは高血圧予防に繋がります。
日頃の食生活で不足するカリウムをコーヒーやコーヒー牛乳で補ってみてはいかがでしょうか。
高血圧を防ぐのに効果的なコーヒーの飲み方
ここまでコーヒーには高血圧の予防・改善に役立つ成分が含まれていることをお伝えしてきました。
ここからは、効果的な飲み方をお伝えできればと思います。
ブラック・砂糖・ミルクを控え目にして飲む
厚生労働省の健康情報サイトe-ヘルスネットでは若年〜中年の男性を中心に、肥満、特に内臓肥満を伴う高血圧の割合が増えていると紹介されています。
下記のブラックコーヒーとカフェラテの栄養成分比較の表からもわかる通り、カフェラテにはブラックコーヒーと比較して脂質や糖類が多く含まれています。
肥満を防ぐためにコーヒーを飲むときはブラックコーヒーか無糖のカフェラテにすることをおすすめします。
ブラックコーヒーとカフェラテの栄養成分比較
| エネルギー | 脂質 | 糖類 |
---|---|---|---|
ジョージア THE ブラック | 0kcal | 0g | 0g |
ジョージア THE ラテ | 29kcal | 0.5g | 5.6g |
コーヒー摂取量目安を参考にする
カフェインはコーヒー100 mL中に約60 mg存在します。
下記のカフェインの悪影響のない最大摂取量の表を参照すると健康な成人は3杯、妊娠中・授乳中は1〜2杯程度のコーヒーを摂取しても健康に悪影響はないといえます。(マグカップ250mlで計算)
カフェインの悪影響のない最大摂取量

まとめ
今回は1日の始まりや食後、仕事の合間など様々なシーンで飲まれているコーヒーと血圧の関係についてご説明しました。
コーヒーにはポリフェノールとカリウムという血圧の上昇を抑えるといわれている成分が含まれています。
しかし、カフェインも含まれているため摂取量には注意が必要です。気になる方はカフェインレスコーヒーも取り入れてみてください。
他にも高血圧の予防・改善に効果的な飲み物があります。適度な運動・バランスの取れた食事を基本にこれらの飲み物も日常生活に取り入れてみてくださいね。
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