納豆で血圧対策!食べる際の4つの注意点と食べ方アイデア
「納豆が血圧にいいって本当?」
「血圧対策におすすめの食材を、効果的に摂る方法が知りたい!」
そんな方に向け、納豆の注目すべき成分をご紹介します。
発酵性大豆製品(納豆や味噌など)の摂取量が多い人たちの高値血圧発症についての調査結果から、納豆を食べる際に気を付けて欲しい注意点まで幅広くまとめています。
また、大豆イソフラボン系のサプリメントとの併用する際の摂取量の注意点もお伝えします。

監修
株式会社レイデルジャパン
コンシューマーヘルスケア事業本部 RA,R&D統括
単 少傑 薬学博士
大豆製品及び発酵性大豆製品の調査
国立研究開発法人国立がん研究センターがん対策研究所による実験では、発酵性大豆製品(納豆や味噌など)の摂取量が多いグループで5年後の高値血圧発症のリスクが低下したという結果が出ています。データを見てみましょう。
概要
循環器疾患などの既往を有さない40~69歳の正常血圧者(4,165人)を対象に、大豆製品及び発酵性大豆製品の摂取量により3つのグループに分け、5年後の高値血圧発症のリスクを比較しています。
結果

その結果、発酵性大豆製品(納豆や味噌など)および発酵性大豆製品からのイソフラボンの摂取量が多いグループで高値血圧発症のリスクの低下がみられました。
一方、大豆製品(豆腐など)及び大豆製品からのイソフラボンの摂取量と高値血圧の発症との間には関連がみられませんでした(図2)。
みそや納豆等の発酵性大豆製品を摂取する際、降圧作用が報告されている野菜等も共に摂取している可能性があるため、それらの食品が今回の結果に影響を与えた可能性を完全に否定することはできません。
そのため、国立研究開発法人国立がん研究センターがん対策研究所予防関連プロジェクトHPでも、「さらなる研究結果の蓄積が必要」と見解が示されています。
しかしこれまでの研究の結果から、大豆イソフラボンには血管の健康に良い作用があることが示されています。
大豆イソフラボンは、血管壁の平滑筋細胞の増殖を抑えて血管の肥厚を防ぐ働きがあり、高血圧の進行を抑える可能性があります。また、腸内でアグリコン型という吸収されやすい形になり、女性ホルモン(エストロゲン)に似た働きをする可能性も示唆されています。
そして、先ほどの研究で着目した発酵性大豆製品には、イソフラボンアグリコンが多く含まれているほか、細胞の増殖や分化に関係するポリアミンが多く含まれることが報告されています。
これらのことから、発酵性大豆製品及び発酵性大豆製品からのイソフラボンの摂取量が高値血圧の発症リスクの低下と関連がある可能性が考えられます。
納豆を食べるときの注意点
納豆に含まれるイソフラボンが血圧に作用する可能性があることをお伝えしました。
そして、ここからは納豆を食べる際に気を付けたいポイントを解説します。
同じ「食べる」なら、より作用が期待できる形や健康的な形で取り入れましょう。
納豆の温度
低温な冷蔵庫のなかでは、納豆菌は眠った状態になっています。
そのため、納豆は食べる前に冷蔵庫から取り出し、30分ほど常温に置いておくのがおすすめです。
タレを入れるタイミング
納豆の栄養素を引き出すには、混ぜる際の順序も大切です。先に納豆を混ぜてからタレを入れてください。
タレを先にいれてしまうと、ポリグルタミン酸が水分と吸着するため、納豆の粘り気や栄養素も少なくなってしまいます。 また、混ぜる方向を変えるとうまみの成分が壊れてしまいます。途中で混ぜる「向き」を変えないことも大切です。
調味料の塩分
納豆を食べる際には調味料にも注意が必要です。
納豆そのものは無塩ですが、商品によっては付属のたれとからしに0.7g前後の塩分が含まれています。そのため、塩分のない他の調味料に置き換えて食べるなど工夫しましょう。
塩分のないの調味料の例
調味料 | 塩分 |
---|---|
ラー油 | 0g |
ごま油 | 0g |
黒酢 | 0g |
ポン酢 | 0g |
納豆のたれを半量にしたり、醤油を使う際は減塩醤油を使うこともできます。
ねぎや大葉などの香味野菜を追加すると、塩分なしの調味料でも美味しく食べることができておすすめです。
ナットウキナーゼの熱耐性
血液をサラサラにする効果のあるナットウキナーゼは、熱に弱いため、50℃で活性が弱くなり、70℃を超えるとほぼ機能しなくなってしまうと言われています。
そのため、可能であれば温かいご飯にかけず、分けた状態で食べるのがよいでしょう。
納豆の摂取量とサプリメントとの併用
ここからは、納豆を1日どれくらいまで食べてもいいのかや、大豆イソフラボンを含むサプリメントとの併用について紹介します。
納豆の1日の摂取量
内閣府の食品安全委員会によると、大豆イソフラボンの安全な一日摂取目安量の上限値は、70〜75mg/日(大豆イソフラボンアグリコン換算値)です。
納豆1パックあたりの重さが大体40~50g ですので、1日に2パックを目安に食べることが好ましいでしょう。
食品安全委員会の評価書によると、食品100g中の大豆イソフラボンアグリコンとしての含有量は以下のとおりとなっています。
食品名(検体数) | 含有量 | 平均含有量 |
---|---|---|
大豆(11検体) | 88.3〜207.7 | 140.4 |
煮大豆(3検体) | 69.0〜74.7 | 72.1 |
揚げ大豆(1検体) | 200.7 | 200.7 |
黄粉(2検体) | 211.1〜321.4 | 266.2 |
豆腐(4検体) | 17.1〜24.3 | 20.3 |
凍り豆腐(1検体) | 88.5 | 88.5 |
おから(1検体) | 10.5 | 10.5 |
金山寺みそ(1検体) | 12.8 | 12.8 |
油揚げ類(3検体) | 28.8〜53.4 | 39.2 |
納豆(2検体) | 65.6〜81.3 | 73.5 |
味噌(8検体) | 12.8〜81.4 | 49.7 |
醤油(8検体) | 0.7〜1.2 | 0.9 |
豆乳(3検体) | 7.6〜59.4 | 24.8 |
表から分かるように、納豆は100gで平均73.5mgの大豆イソフラボンアグリコンが含まれています。その他の大豆製品を摂取する際には、ぜひ参考にしてみてください。
大豆イソフラボンのサプリメント摂取量に注意
食品安全委員会新開発食品専門調査会では、「大豆イソフラボンを含む特定保健用食品の安全性評価の基本的な考え方」において、特定保健用食品としての大豆イソフラボンの安全な一日上乗せ摂取量の上限値を30mg(大豆イソフラボンアグリコン換算)としています。
以下は、大豆イソフラボンの安全な1日摂取目安量の上限値(70〜75mg/日)と、特定保健用食品としての大豆イソフラボンの安全な1日上乗せ摂取量の上限値(30mg/日)の関係図です。(いずれも大豆イソフラボンアグリコン換算値)
関係図

特定保健用食品以外の個別の「健康食品」については評価されていませんが、この考え方を参考に過剰に摂取することのないよう注意してください。
不安な点がある場合は、サプリメントの種類や摂取量などについてかかりつけの医師など専門家に相談するのが良いでしょう。
毎日納豆を無理せず食べる方法
前のセクションで1日に2パック程度の納豆を摂取することを提案しましたが、それを大変と感じることもあるでしょう。
ここからは納豆摂取の手助けになるレシピや情報をお届けします。
冷やし納豆そうめんのレシピ

暑い夏でも、ねぎやみょうがでさっぱりと食べられる簡単レシピです。
納豆と共に、水溶性食物繊維が豊富ななめこが入ることで、麺の絡みがよくなり、のど越しも良かったです。
そうめんをしっかりと冷やしてから盛り付けることで、納豆の栄養素を逃さずに食べられます。食材をとろろ昆布やオクラなどにアレンジするのもおすすめです。
材料(2人分)
- ・そうめん…150g
- ・納豆…2パック
- ・長ねぎ…1本
- ・みょうが…お好みで
- ・なめこ…1袋
- ・カイワレ大根…お好みで
- a. 50%減塩めんつゆ…大さじ3杯
- a. ごま油…大さじ1杯
- a. お酢…小さじ2杯ほど
- a. ポン酢…小さじ2杯ほど
作り方
- 1. 鍋に湯を沸かし、そうめんを茹でていく
- 2.なめこを軽く茹で、ねぎ、みょうがを千切りにする
- 3.先に納豆をよくかき混ぜ、ボウルに(a)を入れて混ぜたら納豆に加える
- 4. 表記の時間茹でたそうめんをザルにあけ、冷水で冷やしたら水気を切って2に入れる
- 5.器に盛り付けて混ぜた納豆、ねぎ、みょうが、なめこ、かいわれ大根を乗せて完成
納豆とたたき長芋のさっぱり和えのレシピ

タレの量は半分にしてかつお節や大葉で風味を補うレシピで、塩分対策をおこなっているレシピです。
材料(2人分)
- ・納豆(タレ付き)… 2パック
- ・長芋… 100g
- ・大葉… 2枚
- ・かつお節… 適量
- ・ポン酢… 小さじ1(お好みで)
- ・ごま… 少々
作り方
- 1. 納豆を室温に戻す
- 2.長芋をポリ袋などに入れて、すりこぎや瓶で軽く叩いて粗くつぶす
- 3.納豆だけをよくかき混ぜ、混ざってからタレを加える
- 4. 納豆・長芋・刻んだ大葉・かつお節・ごま・ポン酢をさっと和える
コンビニの納豆巻の情報

外出先で手軽に食べられる納豆巻もおすすめです。
セブンイレブン、ローソン、ファミリーマートなどの大手コンビニエンスストアのほか、スーパーで気軽に手に取ることができます。
代表的な商品の情報を各社のサイトからまとめました。
ファミリーマート:手巻寿司 納豆
熱量 | たんぱく質 | 脂質 | 炭水化物 | 食塩相当量 |
---|---|---|---|---|
176 | 5.50 | 2.5 | 33.9 | 1.40 |
ファミリーマート:手巻寿司 青しそ納豆
熱量 | たんぱく質 | 脂質 | 炭水化物 | 食塩相当量 |
---|---|---|---|---|
176 | 6.10 | 2.7 | 32.6 | 1.30 |
ローソン:手巻寿司 納豆
熱量 | たんぱく質 | 脂質 | 炭水化物 | 食塩相当量 |
---|---|---|---|---|
174 | 5.6 | 2.2 | 34.1 | 1.47 |
セブンイレブン:手巻寿司 納豆巻
熱量 | たんぱく質 | 脂質 | 炭水化物 | 食塩相当量 |
---|---|---|---|---|
176 | 5.1 | 1.8 | 36.3 | 1.8 |
セブンイレブン:具たっぷり細巻寿司 ひきわり納豆
熱量 | たんぱく質 | 脂質 | 炭水化物 | 食塩相当量 |
---|---|---|---|---|
184 | 5.4 | 1.6 | 38.6 | 1.6 |
まとめ
納豆など、発酵性大豆製品及び発酵性大豆製品からのイソフラボンの摂取が高値血圧の発症リスクの低下と関連がある可能性が高いことをお伝えしました。
日常生活に上手に取り入れてみてください。