イカがコレステロール値に与える影響|成分・食べ方のポイントを紹介
「イカはコレステロールが高めだから食べてはいけない?」
「でもタウリンが豊富でいいとも聞いたことがある…」
これはどちらも正しい情報です。
イカにはコレステロールを減らす働きのある「タウリン」が含まれていますが、コレステロールや塩分・プリン体も含むため食べ過ぎには注意が必要な食品です。
農林水産省のホームページによると、タウリンは体内でも作り出すことができますが、必要量には足りないため、食品から取り入れる必要があるそうです。今回はイカに含まれるコレステロール量や食べ方のポイントをご紹介します。

監修
株式会社レイデルジャパン
コンシューマーヘルスケア事業本部 RA,R&D統括
単 少傑 薬学博士
イカに含まれるコレステロール量

イカはコレステロールが多いとされていますが、実際はどれくらいの量が含まれているのでしょうか。
文部科学省の食品成分データベースから見てみましょう。
イカ(生)に含まれるコレステロール量
※100gあたり
イカの種類 | コレステロール量 |
---|---|
けんさきいか | 350mg |
やりいか | 320mg |
あかいか | 280mg |
するめいか | 250mg |
ほたるいか | 240mg |
こういか | 210mg |
イカとひとくちに言っても、種類によってコレステロール量が変わることがわかります。
皮つきのまだこが110 mg、めかじき72 mg、皮つきのさんま68 mgであることを踏まえると、イカのコレステロール含有量は魚介類の中では多いほうだといえます。
イカはコレステロールを減らす「タウリン」が豊富

イカは魚介類のなかでもコレステロールが多めと紹介しましたが、コレステロールを減らす「タウリン」も豊富です。
タウリンは、生体内で遊離した状態で存在する含硫アミノ酸様化合物の1つで、イカやタコ・貝類・甲殻類及び魚類(心臓・脾臓・血合肉)に多く含まれています。
人間の体内でも作り出すことができますが、必要量には足りないため、食品から取り入れる必要があります。
タウリンの働き
- ① 血液中のコレステロールや中性脂肪を減らす
- ② 血圧を正しく保ち、高い血圧を下げる
- ③ 肝臓の解毒能力を強化。アルコール障害にも効果的
- ④ インスリン分泌を促進し、糖尿病の予防・治療に有効
- ⑤ 視力の衰えを防ぎ、新生児の脳や網膜の発育を助ける
タウリンがコレステロールを減らす作用機序
タウリンは、コレステロールの最終代謝産物である胆汁酸と結合し、抱合胆汁酸として胆汁中に排泄します。
そのためタウリンを積極的に摂取することで胆汁酸の分泌が促進し、コレステロールの代謝が亢進(こうしん)します。
タウリンは体に必要な成分であり、血液中のコレステロールや中性脂肪を減らす効果があることがわかりました。
イカでタウリンを摂取するのか、別のもので補うのかは考える必要がありますが、手段の1つとして知っておきましょう。
イカの1日の摂取目安量
イカの摂取上限は定められていません。そのため、イカに含まれる成分の摂取上限から1日の摂取目安量を算出してみました。
イカに含まれる成分の1日の摂取上限量とイカ相当量
成分名 | 1日当たりの摂取上限量 | イカ相当量 |
---|---|---|
コレステロール | なし | ― |
タウリン | なし | ― |
食塩 | 6g未満 | するめいか:1200g |
プリン体 | 400mg以下 | するめいか:214g |
一般社団法人 日本動脈硬化学会 コレステロール摂取に関するQ&A
コレステロール・タウリンに関しては摂取上限量が定められていませんでしたが、食塩・プリン体の摂取量の観点からイカの摂取量には注意が必要です。
食塩
食塩の摂取上限量は1日6 g未満です。イカを生のまま食べる場合、1000 g以上摂取しても食塩相当量は6 gには到達しません。
しかし、イカを刺身やお寿司として食べる場合は醤油をつけることが多いです。醬油にも食塩が含まれているため、より多くの食塩を摂取することになります。
そのため塩分を摂りすぎないように醤油のつけすぎには注意しましょう。
プリン体
プリン体の摂取上限量は1日400 mg以下です。
イカはプリン体を多く含む食材で、200 g程度で摂取上限量に達します。尿酸値が高めの方は特に注意が必要です。
様々な食品をバランスよく食べることで栄養バランスも整いやすくなります。好きなものばかりの偏った食事になっていないかご自身の食生活を振り返ってみましょう。
ポイント:イカを食べ方
イカを食べるときのポイントは2点あります。
- ① 生のまま食べる
- ② 調味料は控えめにする(塩や醤油をかけすぎない)
順に見ていきましょう。
生のまま食べること
イカに含まれるタウリンは水溶性です。茹でたり、煮たりしてしまうと溶け出してしまいます。生のまま食べるとタウリンを無駄なく摂取できます。
また、新鮮な魚介類を食べるときは寄生虫であるアニサキスに注意が必要です。
- 魚を購入する際は、新鮮な魚を選ぶ
- 丸ごと1匹で購入した際は、速やかに内臓を取り除く
- 内臓を生で食べない
- 目視で確認して、アニサキス幼虫を除去する
調味料を控えめにする
塩分の過剰摂取は血圧を高くする要因になります。
イカに限らずお刺身やお寿司を食べるときは醤油のかけすぎ・つけすぎに気を付けましょう。
健康な日本人の成人男女が当面目標とすべき1日の食塩摂取量は各々7.5g未満と6.5g未満とされていますが、最近の調査結果によるといずれも平均2g程度(濃口しょう油に換算すると小さじ2杯強に相当)上回っている状況です。
イカを食べるときに限らず、普段の食事から調味料のかけすぎ・つけすぎに気を付けて減塩を心がけましょう。
まとめ
イカにはコレステロールが含まれていますが、血液中のコレステロールや中性脂肪を減らすタウリンも豊富に含まれていることがわかりました。
食べるときには効率よくタウリンが摂取できるように生で食べることをおすすめします。