ポリコサノールとはどんな成分?キューバ産サトウキビ由来ポリコサノール機能性紹介
「悪玉コレステロール(LDL-C)値が高い」
「血圧が高めと指摘された」
「善玉コレステロールと悪玉コレステロールの比率が悪かった…」
健康に関するさまざまな悩みに対し、食事などの生活習慣の改善に取り組んでいる方も多いでしょう。
この記事では、「ポリコサノールという成分がコレステロール値や血圧などによいと聞いたけど、どういう成分?」と情報をお探しの方に向けて、産地・植物による機能性の違いがあることや臨床試験の結果などをお伝えいたします。
健康づくりの参考にしていただけると幸いです。

監修
株式会社レイデルジャパン
コンシューマーヘルスケア事業本部 RA,R&D統括
単 少傑 薬学博士
ポリコサノールとは?
ポリコサノールという成分名は「ポリ」と「コサノール」に分けられます。
「ポリ」は”複数の”という意味を持つ接頭語であることから、ポリコサノールは「コサノール」が複数集まっている成分ということになります。
コサノールとは
では「コサノール」とはどんなものかをご説明します。
「コサノール」は炭素数が20以上のアルコール組成物です。
化学的構造でアルコールと呼ばれていますが酒類とは異なり、摂取しても酔うことはありません。
詳しくは下記の「健康食品」素材情報データベースをご覧ください。
ポリコサノールの原材料と組成
ポリコサノールは米ぬかやサトウキビ、小麦などの油脂成分から得られます。
植物などから精製されるポリコサノールは単一成分ではなく、複数の成分を含んでいます。例としてキューバ産サトウキビ由来ポリコサノールに含まれる成分をご紹介します。
キューバ産サトウキビ由来ポリコサノールの成分
成分名 | 化学式 |
---|---|
テトラコサノール(1‐tetracosanol) | C24H49OH |
ヘキサコサノール(1‐hexacosanol) | C26H53OH |
へプタコサノール(1‐heptacosanol) | C27H55OH |
オクタコサノール(1‐octacosanol) | C28H57OH |
ノナコサノール(1‐nonacosanol) | C29H59OH |
トリアコンタノール(1‐triacontanol) | C30H61OH |
ドトリアコンタノール(1‐dotriacontanol) | C32H65OH |
テトラトリアコンタノール(1‐tetratriacontanol) | C32H69OH |
キューバの気候と有機農業で栽培されたサトウキビから抽出された「ポリコサノール」は、8種類の高分子量アルコールが上記のような独自のバランスで配合されています。
※ポリコサノールは、産地や植物により高分子量アルコールのバランスが異なります。それによって機能性にも差異があります
キューバ産サトウキビ由来ポリコサノールの機能性
2025年現在、日本の消費者庁に届出されているキューバ産サトウキビ由来ポリコサノールの機能性は下記4つです。
機能性:キューバ産サトウキビ由来ポリコサノール
- 1.血中総コレステロールを低下させる
- 2.LDL(悪玉)コレステロールを低下させる
- 3.LDL(悪玉)コレステロールとHDL(善玉)コレステロールの比率を改善する
- 4.血圧が高めの方の血圧を下げる
※LH比:悪玉コレステロール(LDL-C)÷善玉コレステロール(HDL-C)で算出するコレステロールの比率
コレステロール関連の臨床結果
キューバ産サトウキビ由来ポリコサノールを摂取した前後で、コレステロールの数値がどのように変化するのか調べた試験結果をご紹介します。
臨床方法
健常成人男女(年齢29~51歳)を2つのグループに分け、1日1回8週間継続してそれぞれの成分を摂取させました。
A群 22人 | キューバ産サトウキビ由来ポリコサノール 10mg含有錠 |
---|---|
B群 23人 | プラセボ(関与成分を含まない見た目や味が同じもの) |
8週間後に、下記の数値を測定しました。
- 1.総コレステロール
- 2.悪玉コレステロール(LDL-C)
- 3.LH比※
※LH比とは:悪玉コレステロール(LDL-C)÷善玉コレステロール(HDL-C)で算出する、コレステロールの比率
臨床結果

A「キューバ産サトウキビ由来ポリコサノール10mg含有錠」群はB「プラセボ」群と比較して、摂取8週間後に総コレステロール、LDL(悪玉)コレステロール、LH比が有意に改善しました。
出典:Br J Clin Pharmacol. 2000; 50(3): 255-262.
血圧関連の臨床結果
キューバ産サトウキビ由来ポリコサノールを摂取した前後で、血圧の数値がどのように変化するのか調べた試験結果をご紹介します。
臨床方法
正常高値血圧の男女84名(年齢19~65歳)を以下の3つのグループに分け、それぞれの成分を1日1回12週間継続して摂取させました。
A群 29人 | キューバ産サトウキビ由来ポリコサノール10mg含有錠 |
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B群 31人 | キューバ産サトウキビ由来ポリコサノール20mg含有錠 |
C群 24人 | プラセボ(関与成分を含まない見た目や味が同じもの) |
臨床結果

摂取前後比較において、摂取8週間および12週間についてC「プラセボ」群では有意な血圧の変動が見られませんでした。
しかし、キューバ産サトウキビ由来ポリコサノールの摂取群では有意に収縮期血圧および拡張期血圧の低下が認められました。
また、群間比較において、B「キューバ産サトウキビ由来ポリコサノール20mg含有錠」摂取群ではC「プラセボ」群と比較して、摂取8週間目に有意な拡張期血圧の低下および摂取12週間目に有意な収縮期血圧および拡張期血圧の低下が認められました。
出典:Int J Environ Res Public Health. 2019; 16(5): 809.
ポリコサノールの開発の歴史
キューバでは1959年のキューバ革命以降、米国との国交が断絶したことにより先進国からの化学肥料や医薬品の輸入が途絶えることになりました。
そのため、化学物質を使わない有機農業推進と国民の健康を増進する医薬品・サプリメントの開発がさかんになりました。
1980年代、キューバ国立科学研究所で行なわれたマウスなどを対象とする研究でサトウキビワックスアルコールにコレステロール調節作用があることが示唆されました。その後も研究が行われており、その期間は30年以上になります。
日本では2019年に機能性関与成分「キューバ産サトウキビ由来ポリコサノール」が消費者庁に機能性表示食品として届出されています。
1959年 | キューバ革命が起きる |
---|---|
1961年 | キューバと米国の国交が断絶する |
1980年代 | サトウキビワックスアルコールの研究が開始される |
1992年 | ポリコサノールの作用が報告される |
2019年 | 本で機能性関与成分として消費者庁に機能性表示食品が始めて届出される |
キューバ産ポリコサノールと他のものとの違い
ポリコサノールは自然由来成分であるがゆえに、原材料や産地によって組成が異なります。
また、抽出・精製の方法によっては違う物質になってしまう可能性もあります。
キューバ産サトウキビ由来ポリコサノールはサトウキビ1tから25gしか抽出できません。また、成分構成比が厳しく定められており、規格から外れたものは「キューバ産のポリコサノール」という名を冠することもできず、サプリメントにも使用できないと定められています。
ポリコサノールという名前は同じでも、産地や植物によって機能性が異なるため、エビデンスをしっかりと確認するようにしてください。
ポリコサノール比較研究結果
ここからは、様々な国のブランドのポリコサノールを、ゼブラフィッシュで比較した研究結果をご紹介します。
実験方法
下記5種類のポリコサノールをそれぞれのウェブサイトから購入し、実験に使用しました。
実験で使用した5つのポリコサノール
製品コード | 製品メーカーと国 | 産地 | 原料 | 主要投与量 | 添加物 |
---|---|---|---|---|---|
PCO1 | レイデル オーストラリア | キューバ | サトウキビワックス | ポリコサノール20mg | なし |
PCO2 | A社 アメリカ | アメリカ | 不明 | ポリコサノール20mg | なし |
PCO3 | B社 韓国 | アメリカ インド | 不明 | オクタコサノール12mg (アメリカ産) | RYR (インド) |
PCO4 | C社 オーストラリア | オーストラリア | サトウキビ | ワックスアルコール20mg | なし |
PCO5 | D社 ニュージーランド | ニュージーランド | 不明 | ポリコサノール33.4mg (うちオクタコサノール20mg) | なし |
各グループの食事内容
20週齢のゼブラフィッシュ196匹のうち28匹(コントロール、グループⅠ)には通常の食事、他の168匹には高コレステロール食のみを4週間与えました。
粉末化した錠剤(PCO1〜PCO5)と高コレステロール食を混合し、ポリコサノール配合の高コレステロール食を作りました。
高コントロール食を与えられた168匹を無作為に28匹ずつ、6グループ(グループⅡ〜Ⅶ)に分けました。
下記の表の通り、グループⅡには高コレステロール食、グループⅢ〜ⅦにはそれぞれPCO1、PCO2、PCO3、PCO4、PCO5を配合した高コレステロール食を与えました。
グループ名 | 食事 |
---|---|
グループⅠ | 通常食(ND) |
グループⅡ | 高コレステロール食(HCD) |
グループⅢ | PCO1(キューバ産)を添加した高コレステロール食 |
グループⅣ | PCO2(アメリカ産)を添加した高コレステロール食 |
グループⅤ | PCO3(アメリカ産・インド産)を添加した高コレステロール食 |
グループⅥ | PCO4(オーストラリア産)を添加した高コレステロール食 |
グループⅦ | PCO5(ニュージーランド産)を添加した高コレステロール食 |
実験結果
4週間後、各グループのゼブラフィッシュの血中脂質プロファイル・体重と生存率を測定しました。
血中脂質プロファイル
赤で囲われたPCO1がキューバ産サトウキビ由来ポリコサノールを添加したグループを指します。

まずは、善玉コレステロール(HDL-C)のグラフに注目してみましょう。

善玉コレステロール(HDL-C)のグラフ
通常食(ND)を摂取したグループと比較して高コレステロール食(HCD)を摂取したグループは善玉コレステロールが有意に低下しました。
PCO1の摂取は高コレステロール食の摂取により低下した善玉コレステロール値を改善する効果が認められました。
しかし、他のPCOは善玉コレステロール値を改善する効果は見られませんでした。
悪玉コレステロール(LDL-C)のグラフ
次に、悪玉コレステロール(LDL-C)のグラフから結果を見ていきます。

通常食(ND)を摂取したグループと比較して高コレステロール食(HCD)を摂取したグループは悪玉コレステロールが有意に上昇しました。
しかし、PCO1、PCO2、PCO4、PCO5の摂取により高コレステロール食による悪玉コレステロールの上昇は有意に減少しました。
特にPCO1を添加したグループで悪玉コレステロール値の改善が見られました。
ゼブラフィッシュの生存率と体重
次に、高コレステロール食(HCD)下での6週間の異なるポリコサノール(PCO1〜PCO5)の摂取がゼブラフィッシュ成魚の生存と体重に及ぼす影響をグラフで示します。

画像内の左のグラフは6週間における全グループのゼブラフィッシュの生存率を示しています。
異なる飼料を摂取した6週目のゼブラフィッシュの生存率は67.8%から96.4%でした。
グループ名 | 食事 | 生存率 |
---|---|---|
グループⅠ | 通常食(ND) | 96.4% |
グループⅡ | 高コレステロール食(HCD) | 96.4% |
グループⅢ | PCO1を添加した高コレステロール食 | 96.4% |
グループⅣ | PCO2を添加した高コレステロール食 | 89.3% |
グループⅤ | PCO3を添加した高コレステロール食 | 67.8% |
グループⅥ | PCO4を添加した高コレステロール食 | 85.7% |
グループⅦ | PCO5を添加した高コレステロール食 | 78.6% |
最大生存率(96.4%)
最大生存率(96.4%)はグループⅠ〜Ⅲで観察されました。
グループⅠ〜Ⅲと比較すると、グループⅤでは摂取6週間後の生存率が有意に1.4倍(p < 0.01)低下しており、これはPCO3がゼブラフィッシュの生存率に悪影響を及ぼすことを示しています。
体重分析の結果
画像内の右のグラフは体重分析の結果を示しています。
6週間の摂取期間中、グループⅠ(通常食)グループⅡ(高コレステロール食)では体重が時間依存的に大幅に増加しました。
一方、グループⅡと比較すると、6週目にはグループⅢ〜Ⅶ(各PCOを添加した高コレステロール食)で体重の有意な(p < 0.001)減少が観察されました。
研究のまとめ
善玉コレステロールを上げ、悪玉コレステロールを下げる機能があるポリコサノールは「キューバ産サトウキビ由来ポリコサノール」であることがわかりました。
他のポリコサノールを摂取したグループは善玉コレステロールが下がってしまったり、ゼブラフィッシュの生存率が低かったりと悪影響を及ぼすものもあることが示されました。
ポリコサノール製品を選ぶ際には原材料・原産地までチェックすることが必要です。
キューバ産サトウキビ由来ポリコサノールの安全性
キューバ産ポリコサノールの安全性は、数々の研究で実証済みです。
30年以上にわたり研究され、臨床試験とSCI級論文発表の実績は140件以上あります。
- また、販売後調査(PMS:Post-Marketing Surveillance)も実施されており、キューバ産サトウキビ由来ポリコサノール摂取により引き起こされた重篤な副作用の報告はありません。
まとめ
ポリコサノールとはコサノールという炭素数20以上のアルコール組成物が集まったものです。
その中でもキューバ産サトウキビ由来ポリコサノールは厳しい基準をクリアした独自の組成のものを指し、30年以上研究されてきた実績があります。
善玉(HDL)コレステロールを上げ、悪玉(LDL)コレステロールを下げる機能性があると注目されている成分です。