LDLコレステロールの対策方法|値が高くなる原因・健康リスクについても

健康診断でLDLコレステロール値の高さを指摘された方のなかには、どのようにすれば数値を改善できるのか、対策方法を知りたい方も多いのではないでしょうか。

この記事では、LDLコレステロール値が高くなる原因や、数値の高さによって起こりうる健康リスク、LDLコレステロール値の改善方法について解説していきます。自分に合った対策方法を見つけましょう。

コレステロールと聞くと、自然に「体に良くないもの」と認識する方もいるのではないでしょうか。しかし、コレステロールは人体に必要な細胞膜やステロイドホルモン、胆汁酸などの生成に必要な材料になるため、一概に「体に良くないもの」とはいえません。

ステロイドホルモンには、副腎皮質ホルモンや男性ホルモン、女性ホルモンなどの性ホルモンなどが含まれます。胆汁酸は、脂溶性ビタミンの消化・吸収を助ける役割があるため、コレステロールは人体にとって必要不可欠です。

コレステロールとは脂肪の一種で、HDLコレステロール(善玉コレステロール)と、今回紹介するLDLコレステロール(悪玉コレステロール)に分けられます。HDLコレステロールには余分に作られたコレステロールを回収して肝臓に戻す役割があり、LDLコレステロールには肝臓で作られたコレステロールを全身に届ける役割があります。

こういった役割を知ると、「LDLコレステロール値が高くてもそれほど問題ないのでは?」と思うかもしれません。HDLコレステロールとLDLコレステロールのバランスが保たれている場合は問題ありませんが、LDLコレステロールが増えすぎると問題が生じるのです。

LDLコレステロールには、血管の壁に入り込む性質があります。血中のLDLコレステロールが増えると血管内にたまり、血液の通り道が狭くなり血管が詰まってしまうのです。血管が詰まると、血管の弾力性が失われて血管自体が硬くなる可能性があり、その後進行して病気につながるおそれがあります。

LDLコレステロールが増えると、健康を害する可能性があるということを覚えておきましょう。

LDLコレステロールについて詳しく知りたい方はこちら

ここからは、LDLコレステロール値が増えるとされる、5つの原因や習慣をご紹介します。

◇肥満によるもの
肥満の方は、体内に中性脂肪が多い傾向が見られます。中性脂肪とは、エネルギーとして代謝しなかった脂肪が血液中に蓄積されたもので、数値が高いと血液中の脂肪が多い状態ということがわかります。この状態になると代謝がうまくできなくなり、LDLコレステロールが増加しやすくなるのです。

肥満が原因の一つとして考えられる場合は、最も病気になりにくいとされる適正体重(BMI値22)を目指して、食事のコントロールや運動を行ないましょう。

◇脂質の多い食事
脂質が多く含まれる食品を摂取することも、LDLコレステロールが増える原因の一つです。例えば、油やマーガリン、ドレッシング、牛肉、卵などには、脂質が多く含まれていますので、日ごろから摂取しすぎないように気を付けましょう。

食の欧米化が進み、脂肪が多く含まれる食品を食べる機会が増えたことが、日本人のLDLコレステロールの増加につながっているといわれています。

◇遺伝や体質によるもの
自分の意志ではどうしようもない原因として挙げられるのが、遺伝や体質です。遺伝子異常によって、肝臓でLDLコレステロールが処理できなくなるという疾患もあります。

もし原因が遺伝的なものだとすると、若い頃から血管の衰えが進みかねないため、異変を感じたらすぐに検査を受けたほうがよいでしょう。また、血縁者にLDLコレステロールが原因で病気になった人がいる場合も、注意が必要です。

◇運動不足
運動不足がLDLコレステロールの増加につながることもありますので、あまり運動をしていない自覚がある方は注意したほうがよいでしょう。

運動には、摂取したエネルギーを消費し、LDLコレステロールを減らす作用があるといわれています。適度な運動を心がけることは、LDLコレステロールを減らすだけではなく、その他の生活習慣病の予防にもつながると期待できます。

エレベーターではなく階段を使う、自転車通勤に変えるなど、手軽にできる運動から始めてみましょう。

◇タバコやアルコール
嗜好品として、タバコやお酒をやめられない方は少なくないでしょう。しかし、これらもLDLコレステロールの増加を促す原因とされています。

タバコには、LDLコレステロールを増やし、HDLコレステロールを減らす作用があります。さらに、血圧の上昇も招くこともあるため、健康な体を目指すなら禁煙したほうがよいでしょう。

お酒を飲むことが習慣になっている方も、注意が必要です。アルコールを摂取しすぎると、肝臓で中性脂肪の合成を促すことになります。適量なら、HDLコレステロールを増やしたり、血流を良くしたりする効果が期待できるため、飲みすぎに気を付けることが大切です。

健康診断でLDLコレステロール値が高いと指摘された方や、健康面からLDLコレステロールの上昇を抑えたいと思っている方は、どう対策すれば良いかが気になるでしょう。
ここでは、対策方法を5つご紹介します。

◇食生活を改善する
現在、コレステロールを多く含む食品が中心の食生活になっているのなら、食生活を見直す必要があるでしょう。コレステロールは体内でも作られていますが、食事からも取り入れられているため、普段の食事ではコレステロールの高い食品を控えるようにしましょう。

コレステロールが多く含まれる食品を食べるなら、摂取の頻度や量を減らすように意識するとよいでしょう。コレステロールを下げる食品・上げる食品については、こちらで詳しく紹介していますのでご覧ください。

また、食物繊維が多く含まれる食品を摂取すると、LDLコレステロール値の減少が期待できるため、日々の食事に取り入れるのも対策の一つです。

◇適度に運動をする
運動する習慣がない方は適度な運動を取り入れると、LDLコレステロール値の上昇を抑えることが期待できるでしょう。

肥満を解消することで中性脂肪が減り、体に筋肉が付けば代謝も上がります。代謝が上がれば糖や脂肪がエネルギーとして消費され、体に溜まりにくくなるのです。

LDLコレステロール値を下げるための運動としては、有酸素運動(ウォーキング、水泳、スロージョギング、自転車など)がおすすめです。1回あたりの運動時間が長いほど効果を期待できますので、まずは週3回、一日30分程度を目標に運動する習慣を作りましょう。

◇アルコールを控える
アルコールを摂取しすぎると、肝臓で中性脂肪の合成が促進されるため、普段からお酒を飲む方は注意しなければいけません。

先ほども触れたように、アルコールにはHDLコレステロールを増加させる働きがあるため、適量であれば問題はないこともわかっています。完全にアルコールを断つ必要はないので、飲みすぎないように気を付けながらお酒を楽しみましょう。

◇禁煙する
先述のとおり、タバコにはLDLコレステロールを増やし、HDLコレステロールを減らす作用があるとされています。タバコに含まれるニコチンは、肝臓で中性脂肪の合成を促進させるほか、糖や脂質の代謝を低下させることもわかっています。

習慣的な喫煙は、さまざまな病気を引き起こす要因にもなりかねないので、喫煙習慣のある方は少しずつ禁煙を始めてみてはいかがでしょうか。

◇サプリメントを取り入れる
ここまで、生活習慣の見直しでできることを紹介してきましたが、サプリメントでもLDLコレステロールの改善が期待できるため、取り入れてみてはいかがでしょうか?

ポリコサノールという成分には、LDLコレステロールを低下させ、LDLコレステロールとHDLコレステロールのバランスを改善し、総コレステロールを低下させる効果があるとされています。

LDLコレステロール値が高い方は、そのまま放置しておくと健康を害するおそれがあります。数値を下げるためには、食生活の改善や運動、サプリメントを活用してみましょう。

齋藤先生_背景透過_切り抜き

監修:ナグモクリニック東京院 女性更年期外来担当医師
斎藤 糧三 医師

1998年、日本医科大学卒業後、産婦人科医に。その後、美容皮膚科治療、栄養療法、点滴療法、ホルモン療法を統合したトータルアンチエイジング理論を確立。2008年、「機能性医学」の普及と研究を推進するため「日本機能性医学研究所」を設立。
2013年よりナグモクリニック東京院で栄養外来と女性更年期外来を担当している。
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