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季節が寒くなれば、我々の体にも変化か訪れます。恒常性を維持するためであります。特に低い温度は心脳血管疾患と密接な関連のあるコレステロール数値を高めるため、よりきめ細かな管理が必要です。

厚生労働省「平成28年人口動態調査・急性心筋梗塞による死亡数」から暑い夏の心筋梗塞による死亡者数は7,313人でした。一方、冬である12月から2月の間、心筋梗塞死亡者数はこれより56%増加の1万1, 409人に達したことが分かりました。

 

12月と1月はコレステロール値が最も高くなる

気温が下がりますと血圧が高くなることは比較的よく知られています。ところが、冬に血中コレステロール値が最も高くなるという事実を知る人は多くありません。

ある研究で、517人の健康な人たちを対象に血液検査を通じて1年間、コレステロール値の 変化を調べましたら、男性の場合、総コレステロール値が最も高い月は12月で、女性も冬である1月にコレステロール値が最も高かったです。

男性は季節による総コレステロール値の変動幅が約3.9mg/Dlで、女性の変動幅は5.4mg /dLで、男性よりさらに大きいことが明らかになりました。

また、参加者のうち、総コレステロール値240mg/dL以上である高コレステロール血症の割合も、夏よりも冬の方が約22%も高かったです。これは女性と高コレステロール血症を持つ人の場合、季節と天候の変化にコレステロール値がより敏感に変化する可能性があることを示唆するものです。

<出典:Arch Intern Med.2004 Apr 26;164(8):863-70 Seasonal variation in serum cholesterol levels>

 

LH比が高いと心臓突然死(Sudden Cardiac Death)の危険が高まる

LDLは血管を狭くするので「悪玉コレステロール」と呼ばれ、HDLは血管をきれいに掃除するので「善玉コレステロール」と呼ばれます。これらの数値については、LDL値は下げ、HDL値は上げるのが血管の健康に有用になります。

ところで、それぞれの数値だけが本当に重要なのでしょうか?実は、血液中のLDLとHDLの比率が大変重要なのです。LDLが増えすぎたりHDLが少なくて余分なLDLが多くなると、LDLは性質を変えて血管の内側に入り込み動脈硬化を起こす原因となり、血管の健康に赤信号が点灯してきます。つまり、LDLとHDLの比率は、動脈硬化を予防するために、とても重要な指標になるのです。

LDLとHDLの比率を計算する方法は非常に簡単です。LDL値÷HDL値になります。例えば、LDL値が110mg/dLであり、HDLの数値が60mg/dLであれば、LH比は1.8で正常範囲になります。日本ではLDL/HDLが1.5以下の場合は健康な状態、2.0以上の場合は動脈硬化の疑い、2.5以上の場合は血栓が生じる可能性があり心筋梗塞のリスクもあると判断されています。もしLH比が3を超えると、動脈硬化が進行してかなり危険な状態にあると考えられます。

 
LH比が高いと心臓突然死の発生リスクが高くなるという研究結果がありました。この研究では42歳から61歳の男性2,616人を対象に23年間、LDL/HDLの比率と心臓突然死との相関 関係について分析しました。参加者たちをLH比によって5つのグループに分けて、比率が最も高いグループ(4.22以上)と比率が最も低いグループ(2.3以下)の心臓突然死の発病率を比較した結果、LH比が最も高いグループの心臓突然死の発病率が1.94倍高いことが分かりました。

LH比は既に心血管疾患のリスクを予測する要素として活用されていまして、LH比は心臓突然死の予測にも有意義な指標となり得ると見られています。

<出典:J Atheroscler Thromb、2017; 24:600-608. http://doi.org/10.5551/jat.37184>