キューバがポリコサノールを開発した理由

2020.10.12

ポリコサノールは、キューバを含む16か国において、コレステロールの管理を必要とする人への薬として使われています。

キューバ国立科学研究所でポリコサノールがコレステロール数値改善に役立つ効果を立証した論文が1992年に発表されました。ここで初めて「ポリコサノール」という言葉を定義し、世界の医学会にポリコサノールの効果を知らせたことになります。

この研究発表以来10年にわたり、キューバ国立科学研究所において、血管系問題をもつ人だけでなく、高血糖値や肝臓機能問題をもつ人を対象とする試験も行いました。結果的にコレステロール数値改善だけでなく、安全性まで立証することになります。

まだまだ知らない人が多いポリコサノール。キューバはこの成分の効能をどうして、どのようにして解明することに成功したでしょうか。


ポリコサノール開発に膨大な影響を及ぼした歴史的な背景

キューバはアメリカと南米大陸に位置している島国です。

美しい海岸やサトウキビ畑、恵まれた自然環境の美しい国ですが、この国の歴史は順調ではありませんでした。

キューバはスペインの植民地としてタバコとサトウキビ栽培の労働搾取があり、何回も独立のための反乱がありましたが、結局スペインの弾圧に屈することになります。

アメリカの独立戦争の流れの余波でキューバでも独立戦争が勃発しますが、長らく戦争が続きキューバの国内情勢は悪化する一方でした。
1989年アメリカとスペインの戦争でのアメリカの勝利により、キューバはスペインから独立することになります。

しかし、歴史の流れはキューバの見方ではありませんでした。スペインからアメリカに変わっただけの、アメリカによる軍政が始まります。

要は、形上の独立は達成しましたが、実情上アメリカの支配下になったことになります。アメリカの支配を受けていた当時は、キューバ政府の独裁と腐敗政治の広がりで、国民の生活は改善されませんでした。


結局、1959年カストロとチェ・ゲバラが政権を掌握し、社会主義宣言をすることになります。

すべての土地が国有化されつつ、アメリカ企業が運営していたすべての工場、銀行までも奪い、アメリカとの関係は悪化していきます。

冷戦時代社会主義連合だったソ連がキューバをサポートすることになって、アメリカとは国交断絶になります。それにより、アメリカの影響力を受けていたラテンアメリカも背を向けることになります。

アメリカはキューバを圧迫するため、経済的に孤立させる政策を取ります。しかし、キューバと交流してきた社会主義国家が次から次へと崩壊していき、その流れからキューバの財政は厳しい状態に落ちていきます。

いよいよ1992年、アメリカはいわば「キューバ民主化法」を通して貿易・通商など完全に防ぐ内容を法制化します。

大半のグローバル製薬会社が資本主義国家にあった時代、キューバは自国民の医薬品供給が難しくなりつつありました。

1992年は、ポリコサノールの効果に関する論文が初めて発表された年でもあります。


実はキューバは高い医療レベルを持っている国として知られています。

社会主義国家らしく、ほとんどが無料で医療サービスを国民に提供しています。人的資源にもかなり投資し、医療従事者が海外で活動する割合も世界でトップレベルです。

現在も血管系問題からの急死は死亡原因上位に必ず入っていますが、当時のキューバの死亡原因の1位も血管系問題からでした。

しかし、医薬品が輸入できないことから、キューバは自国で医薬品の研究開発をスタートさせます。その結果物が「サトウキビ由来のポリコサノール」です。世界的にサトウキビの生産地として有名なキューバだから、サトウキビに着目したのは当然だったかもしれません。

キューバ政府がポリコサノールを国民に与えることによって、死亡率は著しく低くなっていきます。

自国民の健康のため、ポリコサノールを国民に与える「国民健康プロジェクト」がスタートしたのも実は1992年からでした。


今は長寿国家として有名になったキューバ

世界からの孤立によりスタートした悲しい研究開発でしたが、国民を守るために実行した流れは胸が熱くなります。

今は、今までの研究成果から世界16か国でサトウキビ由来のポリコサノールが医薬品として使われている実績を持っています。